キンノヒマワリ 中村紘子の記憶


今さらで恐縮ですが「キンノヒマワリ 中村紘子の記憶」を読了しました。

たまたまAmazonの「こんな本も…」に出てきたのですが、先般の浜松コンクールの特番が放映されていたこともあり、手にした(というかダウンロードした)という経緯です。

子供の頃から「オーケストラがやってきた」や「ピアノのおけいこ」のテレビ番組はもちろん、神戸国際会館でだったと思いますがリサイタルも聴きに行ったりと、耳にする機会は山ほどあった中村さんの演奏。それだけ聴いていたにも拘らず僕の心は掴まなかったようで、「同じ曲ばっかり弾いてる」「ここは目を瞑って弾くところじゃないと言ってる癖にご自分は目を閉じて弾いてる」とか「ピアノ弾くよりカレー作ってた方が良いんじゃないの」等々相当酷いことを言ってきた覚えがあります(汗)

一方で、その著作はコンクール、蛮族、冒険等々どれも興味深く、深い洞察と考察に溢れ、そして楽しいものが多く、全部読んだという自信はありませんが、ほぼ網羅しているのではないかと思います。本当に頭の良い人だなぁと思うと同時に「ピアノ弾かないでペンを持っていた方が良いんじゃないの」とか、また悪いことを言っていたような(笑)

この高坂さんの著作では、僕の悪い頭の中で断片でしかなかったそれらのことが、実は深く繋がっていたことが上手く纏めて書かれていて、正に目から鱗でした。後に続くピアニストの発掘を始め、公演で訪れた地方への文化的な貢献や社会的政治的な活動までなさっていて、頭が良くてパワフルな生き方に頭が下がる思いです。そして、周りの人に対するホスピタリティがしっかりあって、細やかな心遣いが当たり前のようにできる方だったというくだりでは、なるほどと思わず頷いてしまいました。

お安いマスコミ的な言われ方はご本人はきっと大嫌いだと思いますが、これほどまでに「カリスマ」性を備え持った人はいないのではないでしょうか。思い込んだら…的な突き進み方もなさったようですから、反発もあったのだろうと思います。浜松の審査委員長を退かれたのも中村さんの意思ではなかったように読めましたが、ちっちゃな男や快く思わない人たちの嫉妬があったのかも知れません。

癌を発症されたときにも、この人は絶対に死なないよとかこれまた憎たらしいことを言ったこともありましたが、それはそのパワフルな生き方を拝見していたからでもあります。僕は本気でそう思っていた節もあり、突然の訃報には茫然としてしまったことを覚えています。

あれだけのことをやろうと思う、そしてそれを形にする、そんな実行力のある日本人ピアニストが今後現れるのか…素晴らしい演奏を聴かせてくだされば、僕はそれでも幸せですが、自分の世界だけに閉じこもるピアニストばかりで大丈夫なの?と思うところもあります。

キンノヒマワリ 中村紘子の記憶
高坂はる香著 集英社[kindle版]

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【トレーニング】 脚5・体幹3各3セット、エアロクライム160w60分
【ピアノ】 プレリュード~平均律第7番、ラモーを讃えて~映像第1番

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