「イスの王」と「沈める寺」


「イスの王」(イスの王様)スペイン交響曲を作曲したエドゥアール・ラロの歌劇の一つで、フランス・ブルターニュの「イス伝説」に基いて書かれました。

コルヌアイユの王グラドゥロンが溺愛する娘ダユーの願いを聞き入れて建造したのが新都イスで、彼女は海行く船から略奪を繰返し、その富でイスはみるみる間に栄えたものの、背徳の都に成り下がってしまっていました。また、ダユーは貴公子を招き入れては一夜を共にし、飽きたら殺してしまうという恐ろしい女で、その彼女を誘惑したのが赤に身を纏った貴公子でしたが、それは実は悪魔で海の傍に設けられた水門を開けて、イスを水没させてしまったというお話。

モン・サンミシェルを想像すると、ちょっと恐ろしく感じてしまいますが、これは伝説で実話ではありません。ドビュッシーの前奏曲集にある「沈める寺」もこの伝説からインスピレーションを得て書かれたと云われています(異説もあるようです)。この曲を聴くと、水没しても以前の姿そのままで存在するイスが復活するというのもありかもと思ってしまったりします。

さて、イスの王に話を戻します。僕はこのオペラを観たことはありません。一方で、たまーに演奏される序曲は結構好きな方です。その序曲を始めて聴いたのは吹奏楽。兵庫県の吹奏楽コンクールと同時に開催される吹奏楽祭における尼崎市吹奏楽団の演奏でした。尼吹は当時、関西大会にシードされることが多く、この年もシードで県コンクールには出ずに吹奏楽祭に参加していました。

尼吹の演奏だということで、プログラムも見ないで聴いたところ、後半の追い込み、特にエンディングにおける鋭くスピード感溢れる演奏に惹きつけられました。辻井先生ではなく木村先生の指揮だったと思いますが、圧巻の演奏でした。そして、プログラムを見ると「椅子の王様」と書いてあったのです・・・その後、僕は音源を探したときにジャケットに「イスの王(様)」とあるのを見て、尼吹は一体どういうつもりで演奏したんだろうと考え込んでしまったことを覚えています。

結構渋い曲ですし、一般に使われているカイエによるアレンジは、冒頭がニ短調なのに後半は変ニ短調~変二長調になってしまうという奇妙なもの。♭系が多い吹奏楽器が演奏し易いように調性を変えてしまってるのですが、なかなか巧妙にできていて、あまり違和感がないのも確かです。でもオリジナルを聴いてしまうとやはり変です。福井県の森田中学校や三重県の白子高校がコンクールで自由曲として採り上げ、聴き応えのある演奏を繰り広げておられます。一方で、金賞を貰うのは難しそうな曲かとも思います。

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オペラ全曲のピアノアレンジ(ラロ自身によるもの)の序曲の冒頭はこのように書かれています。冒頭は弦楽器で始まりますし、その問いに答えるのもオーボエなんですが、ピアノにすると身も蓋もないですね。全曲弾いてみましたが、前半と中間部はともかくも、後半のトランペットを中心としたトリプルタンギングの三連符の群れの弾き分け、ラストの作り方が難しそうに思いました。

何でもかんでもピアノで弾きたいと思わない方が良いということでしょうね。オケの演奏は、確かアンセルメが指揮するスイス・ロマンド管で聴いたのが最初だったように思います。スイス・ロマンドは僕の年代より上の人は、あまりお好みじゃないような気がしますが、僕は当時から結構好きだったりしました。なかなか、言い出せませんでしたけれど(笑)

12/10
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